立退料の相場

立退料の相場はあってないようなもの。
とはいえ個別の物件ごとに裁判をして決まるであろう金額は判例から予想できます。

立退料の相場を理解する

立退料の相場はあって無いようなものです。ゼロのこ ともありますし、数百万、数千万、数億円と色々です。ここでは私のワンルームからの立ち退き体験を元に話を進めます。

立退料がゼロになる場合

立退料がゼロになるのは、部屋を借りている店子が「立退料をもらわなくても良い」と決めた場合です。

逆に、立退料が高額になるのは住んでいる人に引越の予定が無いのに立退かせようとする場合です。ただし、「1億円以下では絶対に立ち退かない」と頑張っても無駄です。裁判をすることによって合理的な立退料で立ち退くことになります。

つまり、裁判で決まるであろう立退料が合理的な立退料の目安になるでしょう。実際、私が交渉した際も裁判をしたら下されるであろう立退料を目安としました。オークションのようなものなので立ち退く側は高額の立退料を想定し立ち退かせる大家さんはなるべく低額の立退料で済ませようとするでしょう。最終的に決まる立退料は一定の相場内に収れんすることになります。

立退料の相場は「もし裁判をしたら?」で考える

立退料の相場はある

立退料の相場はありますが、単純に家賃の6ヶ月などではないです。

本サイトの主張する立退料の相場

立ち退く側つまり部屋を借りている人はなるべく高い立退料が欲しいでしょう。立ち退いてもらう側つまり大家さんはなるべく低い立退料で済ませたいでしょう。本サイトでは、双方が納得できる立退料を相場として考えます。

たとえば、立退料の相場で検索すると家賃の6ヶ月が相場とか10ヶ月が相場などと出てきます。多くは、大家さんをお客様とする業者のホームページでしょう。逆に、弁護士の実績紹介ページでは100ヶ月分などとあるかもしれません。

どれも実績はあると思います。ウソをついているとは思いません。しかし、立退料の相場と言って良いかというと違うと思います。

なぜなら、裁判の判例に合理的な立退料の計算方法があるからです。判例では家賃の6ヶ月とか100ヶ月とかざっくりした計算は一部のみで、大部分はより説得力のある根拠に基づいた計算により立退料を算出しています。

立退料の相場の根拠は判例から探す

立退料の相場より有利ならば立退く

立退料の相場は語る人の立場によっていろいろです。たとえば、不動産業者は立退料を低めに見積もります。なぜなら、不動産業者のお客さんは主に大家さんだからです。

弁護士の場合は、判例ベースで中立的な立退料の相場を想定しています。「立ち退き交渉に強い」を売りにしている弁護士であれば、店子へ向けて過去の実績から立退料の相場より高額だった事例を紹介していることでしょう。

部屋を借りていて「立ち退いてください」と言われたとしましょう。誰が主張する立退料の相場を参考にすれば良いでしょうか。非公開の実績からは判断できません。私は公開されている判例から合理的な立退料の相場を計算しました。それより立退料が有利ならば立ち退くということです。結論を言うと、立退料の相場よりも高額な立退料を受け取ることができました。

本サイトでは当時、私が必死で計算した立退料の相場を誰もが計算できるように示します。不利な条件で立ち退き合意したり、いたずらに時間を浪費することなく双方に合理的な立退料でスムーズに立ち退きに対処していただければ嬉しいです。

立退料の相場を理解し、裁判より有利な条件で立ち退こう

立退料の相場の計算方法

立退料の相場はネットで検索しても、あるような無いような良くわからない印象でしょう。実際、私も調べましたが大抵は業者の言い分であったり弁護士の実績例だったりと立場により言っていることが変わってきます。

一般書籍は大家さん向けに書かれたものがほとんどでした。具体的な立退料の計算方法は書いてありません。

立退料の最低額と最高額

立ち退いて欲しいと言われたら、なるべく高額の立退料が欲しいでしょう。逆に、大家さんはなるべく立退料は支払いたくないでしょう。普通に引越してくれるなら立退料は不要ですから。

立退料の最低額はゼロになります。普通に引越すということです。気になるのは最高額です。というのも、弁護士のホームページには「高額の立退料を獲得しました!」と良くあるからです。また、ニュースサイトでもルノアールや富士そばの立退料収入がバカにできないほど高額であるとあります。

結論から言うと、住居からの立ち退きと店舗からの立ち退きでは後者の方が高額な立退料になります。残念ながら、個人が賃貸しているワンルームからの立ち退きではラーメン屋さんの立ち退きほど立退料は高額になりません。なぜなら、店舗の場合は営業で得られる利益分も補償する必要があるためです。

このため、立ち退きに強い弁護士の中には法人のみに限るところも多いです。個人の住居ですと、弁護料もまかなえない場合があります。

立退料の最高額は、住居ではなく店舗の場合

立退料が一定の相場内に収まる理由

立退料はゼロの場合も、数億円の場合もありえます。どんな物件であろうと「10億円でも引越さない」という人を立ち退かせるには高額にならざるを得ません。ただ、実際に10億円などと言い張っても立退料が高額になる訳ではないです。

裁判で合理的な金額が示されるからです。裁判は年単位でかかることがあります。どうしても早めに立ち退いてもらう必要がある場合の立退料は高額になるでしょう。

ワンルームからの立ち退きの場合、家賃何ヶ月分の立退料で立ち退こうと思うでしょうか?

立ち退く必要が無いのに立ち退いてもらう場合は損失の補償が必要でしょう。立ち退きの不利益を補償する金銭を立退料と言います。ある判例を調べると、引越先の家賃5ヶ月分程度が示されています。
(参考)5ヶ月の内訳は、敷金・礼金・先家賃・仲介手数料・引越費用です。

ただし、判例で示されている家賃5ヶ月分のみを根拠に立退料の相場を判断するのは危険です。判例では様々な角度から合理的な立退料を示しています。家賃5ヶ月分の立退料というのは、合理的な立退料の根拠の1例として示されているに過ぎません。

立退料がなんとも言えないのは個別の物件で合理的な立退料が異なり、一律の対応が出来ないからです。ただし、1物件に対象を限れば判例で示された計算方法により誰でも立退料の相場を示すことが出来るでしょう。もちろん、不確定な部分があるためキッチリした金額にはなりませんが、ある程度の幅をもった立退料の相場は示すことができます。

たとえば、同等の住環境を補償するために引越先の家賃と元の家賃の差額一定期間分を立退料に加味することがあります。ということは元の家賃の2倍の物件に引越しても補償されるでしょうか。残念ながら、元の家賃の2倍というのは同等の住環境を補償するという趣向に合わないとされるでしょう。

一方、全く同じ物件はないわけで、どこか妥協するところは必ず出るでしょう。その分、2割3割高めの新家賃を想定することは合理的と言えるでしょう。

判例で示された計算方法から立退料の相場は計算できる

住居から立ち退く場合の立退料の相場

私が体験した住居からの立ち退きについてです。立退料の相場を判例を参考に見ていきます。

立退料は一定の相場内に収まると書きました。判例から計算すると実際に裁判をした結果、判決として示される立退料がわかります。参考にする判例は住居からの立ち退きです。3つの立退料の計算根拠が示されています。複数の計算方法を使って立退料を算出し、他の方法と乖離がないと結論しています。

詳しい計算は該当記事を読んでいただくとして、ここでは {裁判で示されるであろう立退料} ± {弁護士費用}住宅から立ち退く場合の立退料の相場とします。

たとえば,裁判した場合に予想される立退料が100万円で店子・大家双方の弁護士費用が40万円だとします。

つまり、この場合の実質的な立退料の相場は60万円~140万円と言えるでしょう。

実質的な立退料の相場 = 立退料 ± 弁護士費用

店舗から立ち退く場合の立退料の相場

結論から言うと店舗からの立ち退きは最初から弁護士に依頼するのが良いと思います。住居からの立ち退きと比較すると、賃料差額法(現賃料と引越し先賃料の差額を補償)で計算される期間が36ヶ月[住居]ではなく12ヶ月[店舗]になるくらいが唯一の減額要因です。営業利益の補償が加算されるため住居の立退料と比べると、かなり高額になる傾向にあります。

どのくらい高額になるのかと興味を持たれると思います。公開されている資料から判断するには、ルノアールや富士そばの決算報告書を探すと良いでしょう。私は住居からの立ち退きのみ体験したので、店舗からの立ち退きを自力でしたことはありません。住居からの立ち退きと比較すると営業利益の算定が難しいでしょう。

判例では儲かっていないであろう店舗の立ち退き例があります。その中では営業利益を盛っている印象を受けました。判決も盛っている利益については減額して判断しています。

店舗から立ち退くなら最初から弁護士に依頼

弁護士費用から推定する立退料の相場

弁護士費用は自由化されましたが、自由化前の「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」がひとつの目安になります。

旧基準では立退料が100万円とすると着手金が10万円。報奨金が16%の16万円。合計26万円が弁護士費用になります。

この場合、大家さんの負担は立退料100万円と弁護士費用の26万円で合計126万円。店子の受け取る実質的な立退料は立退料100万円から弁護士費用26万円を引いた74万円です。

つまり、弁護士を挟まないで100万円の立退料で手を打つと、大家さんも店子も26万円ずつ得になります。

直接交渉の範囲としては74万円から126万円が弁護士費用を考慮した際の落としどころになるでしょう。値幅は52万円です。

立退料100万円として計算しましたが値幅は52万円と立退料の半分以上になりました。実際の立退料も結構ざっくりとしたものです。

立退料は結構ざっくりと決められている