判例から立退料の相場を計算しましょう。
複数の計算方法ができると説得力が上がります。
賃料差額法で立退料の相場を計算する方法を記します。毎月の家賃を元にするので簡単に計算できます。
( 引越先の新家賃 ー 現在の家賃 ) × 数か月 = 立退料
という計算になります。
業者からは引越費用や新居の敷金礼金などで家賃の数か月分を提示されることが一般的です。私の場合も引越費用に加えて新居の敷金礼金と家賃の差額を提示されました。
自発的に引越すことと比べると良い条件ではありますが、唐突に引越せと言われても困ってしまいます。
賃料差額法で立退料を計算しておくことでお互いが合意できる立退き条件が導き出せるでしょう。
立退料をもらう場合はなるべく高額が良いですし、立退料を支払う場合はなるべく低額が良いわけです。お互いに納得できる金額の算出が必要になります。
最初でこじれてしまってはスムーズな立ち退き交渉は望めません。事前に準備しておきましょう。
あらかじめ参考程度でよいので立退料を計算しておく
初回に業者から提示される立退料は一般に最低額です。それと比べると家賃差額の12か月分~36か月分というのは高額すぎると思われるかもしれません。
立ち退き条件に合意できなかった場合は、裁判で決めることになります。裁判費用や予想される判決を考慮すると家賃の12か月分~36か月分という立退料が決して高額とは言えないのです
例えば、家賃が5万円、引越先の新家賃が6万円だとすると差額の1万円分を36か月で36万円になります。それに新家賃の5か月分(敷金2礼金2前家賃1)の30万円を加えて66万円が概算となります。
家賃 | 差額36か月分 | 新家賃5ヶ月分 |
---|---|---|
家賃 5万円 | ||
新家賃 6万円 | 30万円 | |
差額 1万円 | 36万円 | |
合計 66万円 |
立退料の相場とは言っても「このホームページに書いてあるから」では説得力が低いでしょう。弁護士のホームページで「家賃の○○倍!」と実績が宣伝されていても、すべてのケースで同じになるわけではないです。
そもそも立退料0円の場合もあるのです。
家賃差額の12か月分~36か月分 + 新家賃の5か月分が立退料の相場と納得できる資料が集まれば合意できるでしょう。
「賃金差額法」だけではなく、他の計算法でも試算してみれば説得力が上がります。実際、建物明渡裁判の判決を読んでいると、複数の計算方法で立退料を試算しています。
立退料の計算方法として「割合法」「控除法」でも試算し、説得力のある立退料を計算したいところです。ただし、「控除法」は専門すぎるため省略します。
「家賃差額の12か月分~36か月分 + 新家賃の5か月分が立退料の相場だ」と断言していますが、あくまで相場という点に注意してください。私の場合は数倍高額になりましたし、ゼロのこともあるのです。
次は、立退料の計算方法2「割合法」をお読みください。
「賃金差額法」はざっくりした計算方法
割合法で立退料の相場を計算する方法を記します。賃料差額法では引越先との家賃差額を元に立退料を計算しました。しかし、同等の物件がなかったり家賃差額が大きすぎたりすると計算できません。
割合法では立退料の計算に路線価と固定資産税評価額を用います。引越先の新家賃を持ち出すこともなく、客観的な金額を算出することができます。私の場合も割合法を元に立退料を決定しました。
「割合法」とは土地・建物の価格を100%とし、権利割合から立退料を算出する方法です。
割合法で計算ができると説得力がぐっと上昇します。賃料差額法では新家賃との差額が必要になり「差額はいくらまで妥当か」という点にあいまいさが残ります。
一方、割合法では借りている部屋の面積が全体の何%かという視点で立退料を計算するので、土地・建物の価格が割り出せれば誰もが同じ計算を行うことができるので大変明確です。
割合法は誰もが同じ計算を行うことができる
路線価と固定資産税評価額と実際の売買価格に乖離がある場合、立退料の計算方法として割合法は適さないです。
どういうことかというと路線価と固定資産税評価額は年単位で改定されます。一方、市場価格は刻一刻と変動しますので、例えばバブルで土地の価格が急上昇したりします。
割合法は土地建物価格を元に立退料を計算するので、土地建物価格が変動すれば立退料にも幅が出てしまいます。
バブルの場合では、市場価格で計算すると高額な立退料になりますが、路線価や固定資産税評価額から計算すると低額な立退料になります。
私の場合も、立退料を試算する前後で路線価が変わりました。当然割合法での立退料も比例して変わります。(幸い私にプラスになり立退料が上昇しました)
割合法だけでなく賃料差額法も加味する
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