弁護士を選ぶ

私は結果的に弁護士へ立ち退き交渉を依頼しませんでした。
立退料の面でも時間の面でも依頼した方が良かったと思っています。

立ち退き交渉を依頼できるのは弁護士だけ。非弁行為の紹介

私の体験したアパートの一室からの立ち退きでは、新オーナーの名刺を持った立ち退き交渉に強い不動産コンサルタントがやってきました。

おそらく新オーナーが立ち退き交渉一切を不動産コンサルタントに一任していました。本来、弁護士以外の第三者は立ち退き交渉を行えません。

ただ、オーナー変更にともなう不動産管理の仕事はできます。オーナー変更のお知らせや家賃の振込先の変更、ゴミ置き場や共用部の管理などです。これらの不動産業務と合わせて、グレーながら立ち退き交渉も行なっていることもあるようです。

ただし、

  1. 業務として有償で立ち退き交渉をしている
  2. 賃貸借関係にない第三者である

この2点の条件を満たすと弁護士でないのに弁護士業務を行っているとみなされ違法行為になります。(弁護士法72条)

私の交渉相手は一応、新オーナー会社の名刺をもっていました。新オーナー会社の社員であれば立ち退き交渉を行っても何ら問題ありません。名刺だけ作ったのか、社員であるのか判断するのは難しいです。

立ち退き交渉を依頼できるのは弁護士だけ

立ち退き交渉を弁護士に依頼すると高いのでは?→相談無料~低額になった

弁護士費用は依頼する立場からすると高いです。そもそも弁護士に依頼した方が良い問題なのかすら判断しづらいでしょう。

弁護士に相談すると相談だけでは済まないのでは?と思うかもしれません。たしかに、多くの場合相談した弁護士に依頼することになるでしょう。なぜなら、弁護士を比較しようにも情報が手に入らないからです。

だからといって、相談した弁護士に必ず依頼しなくてはならないということはないです。私は区の無料法律相談を利用したことがあります。有益な情報をもらえましたが、そのときは他の弁護士に依頼しました。

立ち退き交渉の際には、Lineで法律相談できる法律事務所に逐一相談していました。通常、弁護士相談の相場は30分5,000円です。自治体が無料で行っている場合は、自治体が費用負担しています。有料の場合は45分5,000円などと時間が延長されていることがあります。

それに比べてLineで相談する場合は、月に500円とか1,000円です。無料のサービスは一般論のみの対応です。実際に立ち退きを迫られている場合は有料のサービスから選ぶことをおすすめします。

有料で弁護士に相談する

弁護士費用から立退料を推定する

弁護士費用は金額から考えると数十万、数百万円と高額になるので依頼する立場では高いような印象を受けますが、そうでもないと思います。

弁護士費用は着手金と報酬金に大きく分かれます。住居からの立ち退きの着手金は無料から10万円程度の弁護士事務所が多いです。

(旧)日本弁護士連合会報酬等基準では着手金の最低額は10万円でした。成功しなくても10万円です。2022年現在、着手金を無料にしている弁護士事務所が多数見つかります。

立退料 料金体系 弁護士報酬
0万円 成功報酬20%のみ 0万円
0万円 着手金10万円+成功報酬16%(旧基準) 10万円
50万円 成功報酬20%のみ 10万円
50万円 着手金10万円+成功報酬16%(旧基準) 18万円

弁護士報酬10万円に注目してみましょう。これを見ると立退料が最低でも50万円以上にはなると見込んでいるのではないでしょうか。

過払い金請求や立ち退き交渉のみ着手金無料とする弁護士事務所があるのは、相場が十分わかっているのでしょう。

弁護士が着手金無料で引き受けてくれるなら
立退料50万円は超えるはず

弁護士に立ち退き交渉を依頼するかどうか

大家さんがアパートを売却したので新オーナーから引継ぎの挨拶がしたいと電話がありました。私は、その直後から弁護士に相談していました。

案の定、新オーナーからは挨拶もそこそこに立ち退き交渉が始まりました。(契約書も用意されており、あとはサインするだけでした)

弁護士からは下記の2点を聞いておけば良いでしょうとのことでした。

先方は、海千山千の不動産コンサルタントです。最初は家賃1か月分からのスタートです。一体、いくらになるのか不明であったため弁護士に依頼するか判断がつきませんでした。(例えば、50万なら弁護士依頼しない方が得になります)

当時、立退料の相場を調べまくりました。もし、当時このサイトがあったら時間を無駄にすることなくスムーズに立ち退き出来たのにと思います。

立退料の相場がさっぱり分からなかった

結果的に弁護士にち交渉を依頼しなかった理由

交渉相手の不動産コンサルタントは立退料を提示しません。あくまで私の希望額を聞いてきます。立ち退き交渉はオークションに似ています。私の希望する立退料を知りたいのは最低落札価格を知りたいからでしょう。相場より私の希望する立退料が低ければ儲かります。

オークションの最低落札価格は事前に知ることは出来ません。あくまで最低だからです。なので私は最後まで希望する立退料を提示しませんでした。

最初に提示された立ち退き期限が迫ってくると徐々に立退料が上がって行きました。こうなるとチキンレースのようなものです。こちらには特にタイムリミットはないので有利です。ただ、立ち退きを迫られているのはストレスです。そもそも火事になったら立退料は発生しないなどと不安になってきます。全くもって不毛な時間でした。

私からは、不動産コンサルタントへ裁判をしたら提示されるであろう立退料の計算式を紹介しました。その計算結果よりも提示額が低ければ裁判をした方が良いですよね、ということです。

最終的に不動産コンサルタントから提示された立退料は、裁判するよりも弁護士費用を加味するとお互いにメリットのある金額でした。その金額を弁護士に相談したところ、家賃に対して十分な立退料であり、弁護士費用を考えると私の受け取る立退料が減ってしまう可能性が高いということで弁護士に立ち退き交渉を依頼するのをあきらめました。

立退料の希望額を提示しないでいたら
勝手に立退料が上がって行った

弁護士に立ち退き交渉を依頼しなくて後悔した点

最終的には、先方に立退料を提示するか裁判をするかの2択を迫りました。その結果、出てきた立退料は弁護士に相談した金額より高額だったため合意することにしました。

知り合いからは上手くやったと言われますが、もっと良い結果にすることも可能だったと感じます。

  1. 無駄に時間がかかった点
  2. 弁護士が相手であれば裁判も辞さないという気概が伝わる点
  3. 先方はほぼ非弁行為なので弁護士相手だと宅建の免許取り消しの可能性がある点
  4. 3.の理由により先方の担当者が味方になる可能性が高い点
  5. 新オーナーはすでに数千万円投資済で金利負担を考えると裁判はあり得ない点
  6. 弁護士報酬は自由になったので私から妥当な弁護料を提案すれば良かった点

弁護士に報酬も含めて相談してみる